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漫画「コウノドリ」を読んで驚きすぎた10のこと☺︎

こんにちは 世田谷区桜上水を拠点に、ニューボーンフォトとファミリーフォトの出張撮影をしている「Anniversary Photo Yomogi」です。


今回は、総合病院の産婦人科が舞台の漫画「コウノドリ」1巻〜32巻を読んで、衝撃だったこと10個を紹介していきます。

ネタバレを含みますので、これから「コウノドリ」を読む方は、こちらのブログは漫画を読んでからお読みください。


下記、明るい内容ばかりではありませんので、楽しい記事を読みたい方向けの内容ではございません。


著者の鈴ノ木先生は「共感して欲しいわけではなく、ただ知って欲しい。」という思いで、漫画を制作されたそうです。私にとっては、衝撃だった内容が多く、漫画なのですんなりと理解できました。「意外と知らないことだらけだった」と読み終えて思い、忘れないためにも備忘録として、ブログに書きたいと思います。


赤ちゃんとお母さんの手


盛りだくさんの内容だったので箇条書きで記載します。

まだ漫画を読んでいない方、これから漫画を読む方は、ブログのご高覧は厳禁でございます。



生まれたての赤ちゃん


 

1 羊水はおしっこでできている!?(21巻)

おしっこと言っても、大人のおしっこと違い、老廃物は含まれていない。

羊水の80%は、胎児尿、つまり赤ちゃんのおしっこ。

あとの20%は卵膜や胎盤から分泌されたもの

お腹の中の赤ちゃんは、羊水を飲んで、おしっこをしてを繰り返す。

生まれた後にすぐに肺呼吸ができるように、練習している。

それによりお腹の赤ちゃんの肺は成熟していく。


2 羊水の役割(21巻)

外の衝撃から守ることに加え、羊水の中で自由に動き、筋肉や骨格を発達させている。

毎日水泳をして鍛えているようなもの。


3 羊水が多い時(21巻)

単に正常だけど羊水が多い時もあれば

お母さんが妊娠糖尿病や、赤ちゃんの消化管閉鎖などあるため、羊水が多い時がある。

妊娠糖尿病になって、お母さんの血糖が高くなると、赤ちゃんの血糖も高くなる。そのため赤ちゃんが大きくなりすぎたり、出産後は逆に赤ちゃんが低血糖になったりする。

お母さんは、妊娠高血圧症候群のリスクが上がる。帝王切開の可能性も高くなる。


妊娠糖尿病は、出産が終われば治ること多いが、将来、糖尿病になるリスクは高いので注意は必要。赤ちゃんにも同じことが言える。


妊娠糖尿病を注意しなければならない人・・・肥満の方、35歳以上の方、尿糖の出る方、巨大児出産既往の方、お腹の赤ちゃんが大きい方、羊水が多い方。それと家族に糖尿病の人がいる方。


2010年に診断基準が変わり、妊娠超尿病と診断される妊婦が4倍に増えた。

8人に1人の妊婦さんがなると言われている。


4 羊水塞栓症(19巻)

羊水成分が血管内に流入して起こる。

なぜそれがショック状態まで引き起こすか不明。

羊水中の赤ちゃんの皮膚や産毛、便、などの成分が血管を詰まらせる。

分娩中、帝王切開中、その後に、呼吸不全や循環不全、播種性血管内凝固症候群が起こり、出血が止まらなくなる。

羊水塞栓症は、妊婦が死亡する最も頻度の高い疾患。

2万〜3万分娩に1例ほどの割合。


5-1 サイトメガロウィルス(20巻)

70%の人が幼少期に症状なくかかっていて、抗体を持っている。

抗体を持つと100%ではないが問題になることはない。ただ、抗体のない妊娠中の女性がなるとお腹の赤ちゃんに感染して、発育遅延、小頭症、脳室拡大、肝腫大など起こすことがある。


このウィルスは、幼少期に感染することが多く、その唾液、尿、鼻水などの体液を介して大人に感染するので、上に小さなお兄ちゃん、お姉ちゃんがいて、抗体のない妊婦さんが特に注意が必要。

予防としては、子供の食べ残しを口にしたり、キスも良くない。おむつを交換した後は手をしっかり洗う。


5−2 生肉の中にいるトキソプラズマ(原虫)(20巻)

妊娠中「肉類は十分加熱して」とよく言われるが、トキソプラズマは、猫のフンや土の中にもいる。

土の中で、感染力を維持するので、妊娠中はガーデニングをしないほうがいい。主に経口感染。

抗体のない妊婦さんが感染すると、流産、早産や健康障害が出ることも。


感染するのは猫科の動物のフンから。犬は大丈夫。

感染して2週間以内の猫が問題なので、ずっと家の中で飼っている猫は大丈夫。でも触ったら手を洗うこと。気をつけることは、妊娠中に新しい猫を飼い始めない。猫を外飼いしない。生肉を与えないこと。


トキソプラズマとサイトメガロウィルスに対応のワクチンや治療法ははないが、抗体があるかどうかは血液検査でわかる。今の感染かずっと前の感染か判断が難しい場合もある。


6 妊産婦の死因(20巻)

妊産婦の死因に自殺は多い。東京23区、2005年から2014年の9年間のデータによると、妊娠中が23人、産後1年未満が40人の計63名。

これは大量出血や病気で亡くなる妊産婦の2倍の数。

自殺した妊婦の3割は産後うつと言われているが、残りの7割も診断されていないだけで、追い込まれていたのは確か。

2017年、厚生労働省が、妊産婦の産後うつ予防のため検診費の助成を始めた。


7 肺血栓塞栓症(22巻)

別名エコノミークラス症候群。長時間座りっぱなしのフライトで、血栓のリスクが上がる。妊娠中は、そうでない時の5倍ほど血が固まってつまりやすくなる。

フライトだけでなく、災害時の避難所などで座りぱなしが長引くと発症することもある。

肺血栓塞栓症は、つまり方が悪いとショック状態になり、死亡することもある。

避難所でトイレが汚いからという理由で、水をあまり飲まないこと、またあまり運動しないというのはとても危険。浮腫はただの浮腫ではなく、血栓の可能性もある。


8 妊娠後骨粗鬆症(22巻)

出産後の女性がなる骨粗鬆症。

元々の骨密度が低い場合は、授乳によって更に骨密度が下がる。

骨は二十歳くらいで、最大獲得骨量になり、それからは減る一方。この二十歳の時に、最大獲得が十分にできていないと、その後の妊娠、出産に影響が出る。

妊娠後骨粗鬆症は、なかなか診断まで辿りつかない。初発骨折で、授乳を中止しないと、次の骨折の連鎖を引き起こす。


9 妊娠後期は腰痛でも湿布を貼らない方がいい(22巻)

お腹の赤ちゃんは、へそのを通じて酸素を得ているが、その循環をうまく行うのが、動脈管という部分。

一般に使われる非ステロイド性抗炎症剤の湿布は、妊娠後期に使用し過ぎると、この動脈管が閉じてしまう危険がある。なので骨盤ベルトがおすすめ。妊婦帯と役割が違うので注意。


10 妊娠中は胆嚢結石になりやすい(31巻)

胆嚢とは、胆汁と呼ばれる肝臓で生成された液体を蓄積する器官。よく見らる石は、コレステロール結石。揚げ物や生クリームをよく食べる人は注意が必要。コレステロールは水に溶けないので、胆汁で溶かして、十二指腸に排出する。つまり、胆汁が足りなくなると、バランスが崩れて、コレステロールが石になる。

妊娠中は、ホルモンの影響で、コレステロール値が上がる

それに加え妊娠中は胆嚢の筋肉が緩みやすく、胆汁の流れが悪くなりやすい

結果、妊娠中は胆石が形成されやすい。

また、ご両親に高脂血症の方がいる場合は気をつけた方がいい。


11 溶連菌感染(31巻)

一般的な溶連菌は、A郡溶血性レンサ球菌・・・熱が出て、喉痛や発疹、舌が赤くなる。

妊婦が感染しても、抗生剤を投与できるので、治療を受ければ赤ちゃんへの影響はない


全く別の菌で、B郡溶血性レンサ球菌・・・膣や直腸によくいる菌。常在菌で、妊婦の5人に1人は持っている。

妊婦さんが罹っても、母親の母体に影響はない。ただ赤ちゃんが産道を通る時に感染することが会って、1万人に1人の確率で感染。

赤ちゃんが、B郡血性レンサ球菌に感染すると、敗血症、髄膜炎や肺炎を引き起こすことも。


劇症型A郡溶血性レンサ球菌の感染・・・いわゆる人食いバクテリア。


40代男性患者の例→数日前から下痢と嘔吐、普通の胃腸炎なら数日で良くなる。

それが良くなるどころか、発熱して、状態がみるみる悪くなった。

救急で搬送されたが、抗生剤の投与も、血液透析も症状の進行に間に合わず。病院に到着して3時間後に息を引き取る。


患者が亡くなった後、血液の細菌培養検査で、A郡溶血性レンサ球菌がでて、それで、劇症型A郡溶血性レンサ球菌が確定した。


通常の溶連菌か、劇症型かを診断するのは難しい。劇症型も、最初は、風邪や胃腸炎のような症状だから。


ただ、溶連菌が稀に何らかの理由で、血液に入ってしまうと、それが劇症型となってあっというまに命を奪う。溶連菌自体は、血液にあるはずのない菌だから。致死率は3割〜5割。


なので、医師としては、普通の風邪で来た妊婦さんにも、念の為、抗生剤を出したいところ。しかし、劇症型は本当に稀な症例。それに、ほとんどの風邪や胃腸炎は、ウィルスが原因で、細菌感染ではないので、抗生剤は効かない。


抗生剤を安易に処方すると、耐性菌を作り、抗生剤の聞きにくい新たな菌を生み出すことになる。それは、患者が抗生剤を必要とするときに、それが効かないという事態を招く。とはいえ、溶連菌に感染していれば処方すべき。それが劇症型となれば、診断が確定でなくても、その疑いがあれば、迷わず大量の抗生剤を投与すべき。


一般成人女性の致死率は40%、妊婦に至っては、母体致死率60〜70%

妊娠中は免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなる。子宮への血流量も劇的に増え、細菌が一気に回る。


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あれれ、10個に収まりません!!

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12 周産期心筋症 (31巻)

妊娠中から産後に、心疾患のない女性が突然心不全を発症する疾患。心臓の収縮力が低下して、心拡大し、母体と赤ちゃんがとても危険になる疾患。その原因は不明だけど、2万分の1の確率で発症する。

発生しやすい因子として、多産、高齢、多胎、妊娠高血圧、喫煙や肥満が知られている。



13 急性骨髄性白血病(32巻)

血を止める働きをする血小板が極端に少なくなっている。疲れやすいことや歯茎からの出血、や無意識にできたアザなどが初期症状。


白血病・・・

骨髄の中で作られる赤血球や白血球、血小板などの血球と呼ばれる細胞が癌化して増殖する病気。

そのせいで、出血を止める働き、体を守る免疫の働きに問題が出ている


妊娠0週から14周で、抗がん剤治療による催奇形性リスクは15〜25%。

14週以降でも、流産、早産、子宮内退治発育遅延、子宮内胎児死亡のリスク。それに、赤ちゃん自身の骨髄に、抗がん剤による副作用、骨髄抑制が生じるリスク。


赤ちゃんを産んでからの治療か、抗がん剤をしないという選択肢(すぐに治療を始めないという選択)をとると、妊婦は助からないことも。医師は赤ちゃんを諦めることを薦める。


漫画の中では、妊娠初期に白血病を発症したケースが描かれている。

妊娠を継続しながら、半年間、無菌室に入院して抗がん剤治療をしながら、治療と治療の切れ目である時期に、32週でカイザー(帝王切開)で、分娩を行う。


 

14 同性カップルの妊娠、出産(25巻)

レズビアンの同性カップルが、精子提供を受けてセルフシリンジで人口受精して妊娠し、分娩の際にカイザーになったら、手術の同意書の配偶者の欄は誰が書くかという話。

漫画の中で、コウノドリ先生は、妊婦の血縁関係者でなく、妊婦のパートナーに同意書を書いてもらっている。


同意書に配偶者の欄があるのは、手術にもしものことがあった時のため。病院の自衛策のみたいなもの。なので、同性パートナーにサインをもらう意味はないとも言えるが、同意書のサインを家族にもらわなきゃいけないという決まりもない。


漫画の中の印象的なやり取り

ゴロー先生「家族じゃなくてもサインしてもいいってことですか」

コウノドリ先生「うん、あの2人は、毎回一緒に検診に来ていたし、真剣に2人で子供を育てようとしている。だから2人は、家族だと僕は思ったし、生まれてくる赤ちゃんは、2人の子供だと思ってるよ」


日本では、同性間の結婚は認められておらず、同性カップルに「パートナーシップ証明書」を発行している自治体はあるが、法的効力はない。だから同性カップルは、医療機関では、人口妊娠できないし、特別養子縁組もできない

病気になったり、事故に遭って、例えば、面会謝絶になったら、事前に本人から面会を承諾しているという書面を提示するか、相手の家族が面会を認めてくれなければ、会うこともできないし、状態もわからない。



15 突発性難聴、耳管開放症(24巻)

耳管開放症・・・飛行機に乗っている時のように、耳がこもっている感じ。疲労、ストレス、体重減少、顎関節症でなりやすい。また妊娠中にもなりやすい。妊娠中のものに関しては、出産後に良くなること多い。もし、さらに聞こえが悪くなる場合は、突発性難聴の可能性があるのですぐに病院へ。


突発性難聴・・・急に耳鳴りや聞こえが悪くなる。発生して2週間以上放っておくと、治療に反応しづらくなる。なので、はやい治療が必要。突発性難聴は原因がわかっていない。妊娠が原因とは言えない。

ステロイド剤の治療がメイン。ステロイドは元々、体の中で作られているホルモンで、炎症が抑える作用がある。ステロイドは、妊娠中の女性も肌のトラブルなどで塗り薬でよく使う。


ステロイドの注射薬は、早産になる可能性が高い赤ちゃんを成長させるために使うことも。その他に、色々な病気で幅広く使われている。ただ、感染症にかかりやすくなったり、血糖が上がったりする副作用があるので、妊婦には慎重な投与が必要。


以上!

 

他にも描かれていた重要なエピソード

未受診妊婦(飛び込み分娩)(1巻&29巻)、先天性風疹症候群(4巻)、性分化疾患(25巻)、新型出生前診断(23巻)、日本の養子縁組のハードルの高さ(24巻)、梅毒(25巻)、医療安全管理(27-28巻)、子宮頸管無力症(26巻)、などあげればきりがありません。


未受診妊婦に関しては、経済的な理由等で、出産が困難な妊婦を援助する制度があるが、妊娠中にしか申請できないそうです。生まれる前に申請すれば、出産費用を肩代わりする助産制度。緊急搬送された出産直前の妊婦に代わって、ソーシャルワーカーが行政と掛け合い申請することも。ソーシャルワーカーについては29巻。


1巻より抜粋

聖ペルソナ総合医療センターでは、年間2000件ある出産で、300件の出産は命と隣り合わせ。100%安全なんてあり得ない。それが出産。」


(上記は1つの病院のデータではありますが、100人いたら15人の妊婦さんが該当するということで、本当にびっくりします)


ちなみに、聖ペルソナ総合医療センターのモデルは、大阪のりんくう総合医療センターで、コウノドリ先生のモデルは、りんくう総合医療センターの産科部長、O先生という方だそうです。


 

感想

全体を通して、周産期の医療従事者と、妊産婦とご家族の苦悩と葛藤がびっちりと詳細に描かれていて、涙なしでは読みきれません。

漫画喫茶のオープン席でコウノドリを読む時は、壁際のすみっこの席で読んだほうがいいです。(涙涙で読むことになりますので)


漫画の中で何回も出てくる言葉、プリミ(初産婦)、カイザー(帝王切開)、ギネ(産婦人科医)などはしっかり覚えました^o^

義務教育の教科書に載せた方がいいよ、と思うような早く知りたかった内容がたくさんありました。


読み終わって思うことは「とにかく知れてよかった!鈴ノ木先生、漫画を描いてくれてありがとう!」と同時に、「奇跡のすぐそばで、赤ちゃんとお母さんを救ってくれる医療従事者の皆様、本当にありがとう!」と思ったのでした。


奇跡の数日後、数ヶ月後に、ニューボーンフォトやお宮参りの家族写真を撮影させて頂いているのだと思うと、とても感慨深いです。


皆様の大切な大切な記念日を撮影できますことに感謝して、今後も皆様の幸せを願ってシャッターをパシャパシャと切っていきたいと思います!


 

参考文献

漫画「コウノドリ」1巻〜32巻 / 著者 鈴ノ木ユウ/講談社

WEBサイト「ジョブメドレー 鈴ノ木ユウ 特集」

 

今後もお役立ち情報などを発信していてきます。

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